ガイド
飲食店の棚卸しのやり方
——手順・頻度・計算式をやさしく
最終更新:2026-07-17|「数えて、単価を掛けて、合計する」——それだけです。つまずく所も先回りして解説します。
棚卸しとは——なぜやるのか
棚卸しは、店にある食材・飲料・資材を数えて、金額にする作業です。目的は2つ。①本当の原価率を知るため——仕入れた金額ではなく「実際に使った金額」で原価を見るには、月初と月末の在庫が必要です。②税務・会計のため——期末の在庫(棚卸資産)は決算に必要で、これは省略できません。
計算式は2つだけ
2つ目が棚卸しの本当の価値です。仕入額だけで原価率を出すと、買いだめした月は高く・在庫を食いつぶした月は低く出てしまいます。在庫の増減を差し引いて初めて「実際に使った原価」になり、レシピから積み上げた設計上の原価率と比べることで、ロス(廃棄・作りすぎ・出しすぎ)が見えてきます。
手順は5ステップ
- ①日を決める:月末の営業後(または翌朝の仕込み前)。毎月同じタイミングにするのがコツです
- ②場所ごとにリスト化:冷蔵庫・冷凍庫・乾物棚・ドリンク庫など、置き場所の順に数える表を作る。歩く順=数える順にすると漏れません
- ③数える:2人でやるなら「読み上げ役・記録役」に分かれると速くて正確です
- ④単価を掛ける:直近の仕入単価を使います。ここが一番間違いやすい所(後述)
- ⑤記録を残す:合計金額だけでなく品目ごとの記録を保管。翌月との比較と税務資料になります
頻度は「月1回」が基本
最低ラインは決算期の年1回(税務上必要)ですが、経営に使うなら月1回が基本です。月次でやって初めて「実際の原価率」が月ごとに出せて、異変(ロスの増加・ある食材だけ減りが早い)に気づけます。全品目が大変なら、金額の大きい食材(肉・魚・酒など)だけ月次で、全品目は四半期に一度、という濃淡のつけ方も実務的です。
つまずきポイントと対処
開封済みの調味料・酒はどう数える?——重さを量るか、目分量の割合(0.5本など)で概算して構いません。大事なのは毎回同じルールで数えることです。単価が古い——仕入れ値は動くのに、表の単価が半年前のまま、が最もよくある事故です。在庫表と仕入の記録が別管理だと必ず起きます。Excelの表が属人化——作った人しか触れない表は、その人が休むと棚卸しごと止まります。
紙・Excel・アプリ——どれでやるか
| 紙+Excel | 在庫管理専用アプリ | MenuFresh | |
|---|---|---|---|
| 数える→集計 | 手書き→転記→電卓 | アプリ内で完結 | スマホで入れるだけ・集計自動 |
| 在庫の単価 | 手で更新(古くなる) | 手で更新 | 原価台帳と共通=仕入れ値に自動連動 |
| 費用 | ¥0(時間コスト大) | 月3,000〜13,000円ほど | Standard 月¥1,720(税込)に同梱 |
| 税理士に渡す資料 | 自作 | アプリによる | PDF/Excel出力 |
専用アプリの料金帯は2026年7月時点の公開料金の概算。出典:OREND(在庫管理システム比較) ほか
MenuFreshの棚卸しは、原価計算と同じ食材マスタを使うのが本質的な違いです。単価は仕入れ値と常に一致し、数えて入れるだけで在庫金額・一覧・PDF/Excel出力まで自動(飲食店の棚卸し →)。上の「実際の原価率」の式も、売上データがあれば自動で出ます。
よくある質問
Q. 開封済みの調味料やお酒はどう数えますか?
A. 重さを量るか、目分量の割合(0.5本・0.3袋など)で概算して大丈夫です。税務上も合理的な概算は認められています。大事なのは毎回同じルールで数えて、月どうしの比較が成り立つことです。
Q. 棚卸しをしないと、何が困りますか?
A. まず決算で困ります(期末の棚卸資産は申告に必要です)。経営面では「実際の原価率」が出せないので、ロスが起きていても数字に表れず、レシピ上は儲かっているのに手元にお金が残らない——という状態に気づけません。
Q. 月末の営業後にやるべきですか?
A. 理想は月末営業後か翌月頭の仕込み前(在庫が動かないタイミング)です。ただし完璧な瞬間を狙って続かないより、多少ずれても毎月同じタイミングで続けるほうが価値があります。
Q. どこまで細かく数えるべきですか?
A. 濃淡をつけて構いません。金額の大きい品(肉・魚・酒)は正確に、調味料などの少額品は概算で。全体の在庫金額の大半は上位の品目が占めるので、そこを正確にするのが費用対効果の高い順番です。
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